中小企業の働き方改革とは?法案内容や推進方法を解説
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働き方改革は、2020年4月から適用範囲が拡大されたことにより、中小企業でも取り組んでいかなければならないものとなりました。
働き方改革では、時間外労働の上限を規制したり、有給休暇の取得を義務化する、フレックスタイム制を拡充する、正規雇用と非正規雇用の格差を是正するなど様々な内容が盛り込まれています。
そのなかでも、長時間労働に関する問題は、早急に取り組まなければならない事項でしょう。
この記事では、働き方改革で企業が取り組んでいかなければならないことや、労働時間の短縮に役立つサービスについてまとめています。
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中小企業における働き方改革とは
働き方改革は、2019年4月に大企業を対象として施行され、2020年4月からはその範囲が広がりました。中小企業でも働き方改革に取り組まなければならなくなりましたが、現状はスムーズに進んでいない企業が多いとされています。
働き方改革の概要
働き方改革では、企業の生産性を高めることと、万人が働きやすい環境をつくることが求められています。
働き方改革が行われる背景として、労働人口の減少が挙げられます。超高齢化社会となっている日本では、労働人口を増やさなければ生産活動を維持することができなくなってしまうことから、働き方改革によって働き手を増やすということが目的のひとつとなっています。
また、働き方改革により、育児をしながらでも働きやすい環境が整えば、出生率も上昇し、人口減少も防げるでしょう。多様で柔軟な働き方ができる社会にすることで、すべての人が働きやすくなる、生産性を高めていくということを目指している法案です。
中小企業の働き方改革の現状
帝国データバンクが行った調査によると、働き方改革に取り組んでいる中小企業は、56.7%となっていて、多くの企業が取り組めていないことが分かります。
また、働き方改革を行いたいが、人手不足により取り組めないというような声も多くあがっています。
中小企業における働き方改革の重要性
日本では企業数の99.7%が中小企業とされており、従業員数でみると中小企業が68.8%を占めています。このようなことから、中小企業こそ働き方改革に取り組まなければならないということが分かります。
ここでは働き方改革を行う重要性について解説していきます。
採用力の向上
人材を確保するためには、求職者目線で採用力を向上させていかなければいけません。
就業環境を良くすることや、企業価値を高めることが必要となってきます。中小企業の場合、大企業と比べると企業の認知度が低くなってしまう傾向にあります。自社の認知度が低いと、人材を集めることができません。
まずは、認知度を高めるために、自社の魅力を発信できる体制を整える必要があるでしょう。また、就業環境が良くなければ離職率は高くなってしまうため、職場環境の改善にも取り組まなければいけません。
人材不足の解消
中小企業では、人手不足により業務が多忙になっているケースが多いです。このことから、残業が増えてしまう、一人にかかる業務負担が大きくなっているという現状があり、なかなか働き方改革に取り組めないという声も多いです。
さらに、一人の業務負担が増えることで、離職率が高くなってしまっているという課題もあります。
まずは、人手不足を解消するために、新たな人材の雇用や一部業務の外注などを検討する必要があるでしょう。人手不足が解消されることで、離職率を減らすことにもつながります。
中小企業の働き方改革関連法案の内容と適用時期

働き方改革関連法案の内容は、大企業と中小企業で適用時期が異なります。ここでは中小企業の適用時期についてまとめておきます。
時間外労働上限規制
時間外労働上限規制は、中小企業は2020年4月より適用しなければいけません。「年間720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間」という規定になっています。
年次有給休暇の義務化
年次有給休暇取得の義務化については、2019年4月より適用となっています。有給休暇が年間10日付与されている労働者は、そのうち5日は必ず取得しなければいけないというものです。
勤務間インターバル制度の普及推進
勤務間インターバル制度については、2019年4月から適用となっています。こちらは努力義務となっており、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することを推進しています。
中小企業の時間外割増率猶予措置の廃止
中小企業の時間外割増率猶予措置の配置は、2023年4月に適用となります。これまでは割増率25%となっていましたが、適用されると大企業と同様の割増率50%になります。
産業医の機能強化
産業医の機能強化は、2019年4月から適用となっています。事業主が産業医に情報を提供し、産業医の勧告を衛生委員会に報告しなければいけません。
同一労働同一賃金の義務化
同一労働同一賃金の義務化は、2021年4月から適用となっています。正社員と非正規労働者における待遇差を無くしていくというもので、不合理な待遇差は、内容や理由の説明が求められます。
高度プロフェッショナル制度の創設
高度プロフェッショナル制度は、2019年4月から適用となっています。専門知識を必要とする業務に従事していて、一定の収入がある場合、本人の同意を条件に労働時間や休日、深夜の割増賃金の規定を適用外とするものです。
フレックスタイム制の清算期間延長
2019年4月より適用となっており、フレックスタイム制の清算期間が、1ヶ月から3ヶ月に延長されます。
中小企業が働き方改革を推進するための3つの要素

中小企業が働き方改革を遂行する場合、どのような方法で行っていけば良いのでしょうか。具体的な方法についてまとめておきます。
生産性をあげる
生産性をあげることで、投じたコストや労力に対して成果をより多く得ることが可能になります。そのためには、まず社員が行っている業務を可視化していく必要があるでしょう。
これにより、一人の社員に業務が集中していないか、業務を分担することはできないのかというようなことが見えてきます。また、自動化できる業務や外注できる業務なども分けることができ、生産性向上につなげることができます。
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業務の見直し
業務内容によって、デジタル化できる部分も出てくるでしょう。デジタル化することで、業務効率をあげることが可能です。働き方改革を進めていくためには、社内全体の業務を見直していく必要があります。
会社全体で進める
生産性向上には、職場環境を整えることも重要です。そのためには、会社全体で進めていかなければいけません。ひとつの部署だけで働き方改革を進めることはできないため、会社全体で取り組む必要があるでしょう。
中小企業働き方改革の事例3選
実際に中小企業で行われている働き方改革の事例についてまとめておきます。成功事例を見ることで、自社でどのように取り組んでいけば良いのか、より具体的な方法が分かります。
離職率・残業時間の改善
ある企業では、残業時間にポイント制を取り入れて、残業が少ないと賞与の評価に反映されるというような仕組みを取り入れました。これにより残業が減り、賞与が増えるということになり、従業員の働き方への意識も高まったとされています。
他に、残業代削減分を全従業員に還元する仕組みを取り入れることで、残業時間を削減したというような事例もあります。
残業をしないことで、給料が減ってしまうと感じる人もいますが、減った残業分を還元してもらえるシステムなら、やる気を失うことなく働くことができると言えるでしょう。
働き方改革が採用にも好影響を与える
ある企業では、有給休暇消化100%という目標を掲げ、全員がそれを達成することができるように、社内の業務マニュアルも整備しました。
これにより、業務が効率化できただけでなく、有給休暇を取得して社員が自己のスキルアップのための時間も確保できるようになったことから、売上アップにもつながったとされています。
さらに、このような取り組みの成功事例を会社説明会でPRしたことで、新規採用にも好影響を与える結果になっています。社内全体で取り組んでいるという姿勢に、求職者は社員のことを考えてくれる良い会社という印象を抱くのでしょう。
システムの導入による時短・効率化
働き方改革の実現のために新たにシステムや設備を導入し、各業務の時短を成功させることで、1人当たりの残業時間を削減することに成功したという事例もあります。システムを使うことで労働環境や生産性の向上に成功した事例は多くあります。
しかし自社の業務や環境に合わないシステムや複雑で操作が困難なシステムを導入したところで効果は期待できません。まずは現状の課題を明らかにし、それに応じた適切なシステムを選択することが重要となります。
中小企業が働き方改革を無理なく進める方法
中小企業が働き方改革を無理なく進めていくためには、下記のような方法を検討すると良いでしょう。
助成金の活用
厚生労働省では、働き方改革推進支援助成金という助成金制度が用意されています。これは、労働時間の縮小や年次有給休暇の取得促進に向け、環境整備をしている中小企業に対して、その実施のために要した費用の一部を助成してもらえるという制度です。
他にも、業務改善助成金や、キャリアアップ助成金など働き方改革を進めやすくするための助成金制度があるため、これらを活用しましょう。
外注による業務の効率化・スリム化
中小企業では、人手不足解消のために、新たな人材を雇用するのではなく業務の一部外注ということも視野に入れてみると良いでしょう。簡単な業務は、比較的外注しやすいですし、人材を雇用するよりも費用を抑えることができます。
中小企業が効率化・スリム化しやすい業務
中小企業が業務を効率化するためには、外注できる業務は外注していく方法がおすすめです。では、具体的にどのような業務が外注しやすいのでしょうか。
すぐに外注できる業務3選
外注しやすい業務についてみていきましょう。
事務業務
事務業務とは、データ入力や書類作成、来客対応などを行う業務を指します。特別なスキルを必要としないものの、社内の従業員で対応するにはある程度リソースを要する業務です。
業務を外注する上で、ある程度マニュアルなどは必要になりますが、網羅的に外注ができる業務にもなりますので、まず第一に検討してみるのが良いでしょう。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクは、属人的な片手間運用や対応時間の長さなど様々な課題があります。
社内ヘルプデスク代行サービスに依頼をすることで、PCスキルやネット環境などの専門的な知識を持っているアウトソーサーが対処してくれるためスムーズに解決することが可能です。
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電話対応業務
電話対応業務は、社内電話、社外電話問わず誰もが経験しているでしょう。電話の件数が多いと、本来行うべき業務が思うように進まなくなってしまうものです。
そうなってしまうと、残業時間が増える、生産性が落ちるということになりかねません。電話対応業務が減るだけで、働き方改革が進むと言えます。
電話対応業務の外注なら電話代行サービス
電話対応業務を外注したいと考える場合、電話代行サービスの利用がおすすめです。電話代行サービスは、専門のオペレーターが代わりに電話に対応してくれます。会社の顔として対応してくれるので、安心して任せることができ、必要な電話だけ取り次いでもらえます。
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まとめ
中小企業における働き方改革について、課題となっていることや働き方改革を進めていく方法をお伝えしました。新しく人材を雇用するとなると、様々な費用がかかってしまいます。できるだけコストをおさえて業務効率化につなげるなら、業務を外注することも検討してみてください。
電話代行サービスは、多くの時間を取ってしまう電話対応を任せることができます。中小企業では、電話担当者がいないことも多いため、業務効率化で役立つサービスと言えるでしょう。
